冷凍野菜って、手抜きなのはいいとして、栄養はどうなんだろう?

切ってあるし、袋から出すだけだし、まな板も出さなくていい。そこはもう大歓迎なんです。でもスーパーで冷凍ブロッコリーの袋を持ったまま、「やっぱり生のほうがいいのかな」と手が止まることがある。

かといって生を買うと、忙しい週は冷蔵庫の奥でしんなりしていたりして、それはそれでもやもやします。

先に言ってしまうと、論文を読んでみても「冷凍は生に負ける」とは言いきれませんでした。かといって「冷凍のほうが上」でもありません。話をややこしくしているのは、もしかすると「生」という言葉のほうです。

その「生」、いつの生のことですか

「生のほうが栄養がある」と聞くと、畑でとれたばかりの野菜を思い浮かべがちです。でも、わが家の冷蔵庫にあるのは、それとは少し違います。お店に並ぶまでに何日たったのか、買うときにはたいてい分かりません。そのうえ、持ち帰ってからいつ使うかは、その週の忙しさしだい。

2017年に発表された米国の研究でも、「生」は収穫直後の野菜ではありませんでした。スーパーで買ってきて、その日に測ったものです2。

これ、読む側にとってはかなり大事なところです。月曜に買ったほうれん草を木曜に使う人と、帰り道に買ってその夜ゆでる人とでは、冷凍と比べたい「生」がそもそも違うんですよね。

冷蔵庫で5日たつと、どうだったのか

この研究が暮らしに近いのは、買った生を4°Cで5日冷蔵する条件も用意したところです2。週末にまとめて買って、後半に「あ、使わなきゃ」となる、あの感じですね。

調べたのは6つの野菜と2つの果物。比べたのは栄養のすべてではなく、ビタミンC、βカロテン、葉酸の3成分です。

結果は、多くの比較で明確な差を検出しませんでした。差が出たところだけを見ると、冷凍が5日冷蔵の生を上回った比較のほうが、その逆より多かったそうです。

「やっぱり冷凍の勝ち!」と言いたくなるところですが、全部の組み合わせで冷凍が高かったわけではありません。

もうひとつ、知っておきたいことがあります。この研究はFrozen Food Foundationの助成を受けていて、どの食材と成分を調べるかの選定にも、資金を出した団体が関わっていました2。それだけで結果を捨てる必要はありませんが、頭の片隅に置いて読みたい点です。

2017年の研究

「生」は2つの条件で測られていた

買った日の生だけでなく、買って5日冷蔵した生とも比べています。

購入日の生

スーパーで買った生を、買ったその日に測定。

購入後5日冷蔵の生

買った生を4°Cで5日冷蔵してから測定。

市販冷凍

スーパーで買った市販の冷凍品を測定。

出典:Li L, Pegg RB, Eitenmiller RR, Chun JY, Kerrihard AL (2017). Selected nutrient analyses of fresh, fresh-stored, and frozen fruits and vegetables. Journal of Food Composition and Analysis. [2]

原論文(受理原稿)をもとにnohasu整理

米国で購入した6野菜・2果物の計8種類で、ビタミンC、βカロテン、葉酸の3成分を分析した研究。

「差がなかった」を「同じ」と読まないで

ここで少しだけ、言葉の話を。

「有意差を検出しなかった」は、「まったく同じだった」という意味ではありません。目盛りの粗いはかりでは小さな違いが見えないように、「この調べ方でははっきりした差が見つからなかった」というくらいの言葉です。

逆に、冷凍が高かった比較を見て「冷凍すると栄養が増える」と考えるのも飛躍です。お店で買った生と市販の冷凍品は、原料も加工も完全に同じではありません2。

それに、これは食品の中身を測った分析です。食べた人の体で吸収がどうなるか、体調や体重が変わるかを試したものではありません。

なので、持ち帰れるのはこのくらいの結論です。「冷凍だから栄養はあきらめるもの」と決めつける理由は、この研究からは見つからない。ただし、冷凍野菜を食べれば健康になる、という話でもない。ちょっと地味ですが、袋を持って迷う場面では、これだけでも気持ちがだいぶ違います。

同じ収穫物を分けて比べた研究もあります

「もとの野菜が違うなら、比べても仕方ないのでは?」と気になった方には、2015年の研究が参考になります。こちらは同じ収穫物を分けて、片方を冷蔵、もう片方を冷凍にしました1。

対象はトウモロコシ、ニンジン、ブロッコリー、ホウレンソウ、グリーンピース、サヤインゲンの6野菜と、イチゴ、ブルーベリーの2果物です。

条件はこんなふうでした。

  • 冷蔵:2°Cで最長10日
  • 冷凍:−27.5°Cで最長90日
  • 下ごしらえ:野菜は蒸気で加熱してから急速冷凍し、果物は加熱なし

この加熱はブランチングと呼ばれ、酵素の働きを止めるための前処理です3。つまり「冷凍したかどうか」だけを比べたのではなく、加熱、温度、保存の長さまでセットになった比較でした。保存期間も、冷蔵と冷凍でそろってはいません。

「冷凍なら大丈夫」とひとくくりにできない理由

この論文の読みどころは、成分によって結果の顔つきが変わることです1。

ビタミンCやビタミンEでは、冷凍のほうが高い食材がありました。ビタミンB2は、ブロッコリーでは冷凍が高く、グリーンピースでは低いと、向きが逆に。そしてビタミンAのもとになるβカロテンは、一部の食材で冷凍・保存に伴って大きく下がっていました。

「冷凍でもちゃんと残る」と「冷凍で減ることもある」が、同じ論文の中に同居しているわけです。どちらか片方だけ切り取ると、話がきれいになりすぎてしまいます。

もうひとつ、数字の読み方にも注意が必要です。この研究の図は、水分を除いた重さ(乾物重量)あたりで示されています。おひたし一皿から何をどれだけとれるか、という数字にそのまま読み替えることはできません。

2015年の研究

成分ごとに結果の出方が違った

同じ収穫物の冷蔵と冷凍を比べた結果を、4成分で整理しました。

ビタミンC

5種類で有意差を検出せず、3種類で冷凍が高い。

ビタミンB2

6種類は差を検出せず、残る2種類は冷凍の高低で方向が違う。

ビタミンE

3種類で冷凍が高く、残りは有意差を検出せず。

βカロテン

一部の食材で、冷凍・保存に伴い大きく低下。

出典:Bouzari A, Holstege D, Barrett DM (2015). Vitamin Retention in Eight Fruits and Vegetables: A Comparison of Refrigerated and Frozen Storage. Journal of Agricultural and Food Chemistry. [1]

測定した成分の結果をnohasu整理。食品成分の分析で、人体の健康効果の試験ではありません

6野菜・2果物の成分分析。健康効果や一食分の栄養を保証するものではありません。

家の冷凍庫や宅食にも、そのまま当てはまる?

ここは話を広げたくなるところですが、研究が届く範囲は意外と狭いんです。

たとえば、特売の生野菜を買って自分で冷凍する場合。研究の野菜は、加熱の前処理をして急速冷凍し、−27.5°Cで保管されたものでした1。家庭の冷凍庫とは条件が違うので、同じ結果になるとは言えませんし、「90日置いても大丈夫」という目安にもなりません。

宅食のおかずも同じです。調べられたのは米国で選ばれた市販品で2、日本の冷凍野菜全般や、特定の宅食の栄養を保証するものではありません。宅食で迷っているなら、主食や量、片づけから自分の夜に合うかを考える宅食の選び方もあわせてどうぞ。

それから、「ブランチング済みなら、そのまま食べられるの?」という疑問。ブランチングは、食べられる状態まで調理することとは別のものです。自然解凍できる商品と加熱が必要な商品は分かれていて、調理や解凍は袋の表示に従います3。

迷ったら「これ、いつ使う?」と聞いてみる

ここからは、研究が直接試したことではなく、読んだうえでの暮らしへの置き換えです。

今夜か明日に使うと決まっているなら、生か冷凍かは栄養より、食感や値段、切る手間の気分で決めていいと思います。買った日の生は研究でも比較の出発点でしたし、冷凍を避ける理由も見当たらないので。

迷うのは、週の後半の分です。木曜の自分が本当に野菜を切るかどうか、あやしい週ってありますよね。そんな週は、冷凍の袋をひとつ混ぜておく。「買って5日」の生と比べた研究があるのは、この場面の安心材料になります。

一方で、全部を冷凍に切り替える理由にもなりません。結果は成分や食材で分かれていましたし、測られたのもごく一部の成分だけです。生と冷凍は、どちらかを選び抜くより、使う日で分けて持っておくくらいがちょうどいいのかもしれません。

なお、この記事で扱ったのは栄養成分の話です。商品ごとの安全性や、治療中の食事、離乳食のことは別の問題なので、ここからは判断しないでください。

袋を持って手が止まったら、「栄養、大丈夫かな」の代わりに「これ、いつ使う?」と聞いてみる。それだけで、かごに入れるものはけっこう決まってきます。

参考資料

確認日はいずれも2026年11月1日です。

  1. Bouzari A, Holstege D, Barrett DM. Vitamin Retention in Eight Fruits and Vegetables: A Comparison of Refrigerated and Frozen Storage. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2015. DOI: 10.1021/jf5058793(全文を確認。確認日:2026年11月1日。確認したPDF内では資金源の明示を確認できず)
  2. Li L, Pegg RB, Eitenmiller RR, Chun JY, Kerrihard AL. Selected nutrient analyses of fresh, fresh-stored, and frozen fruits and vegetables. Journal of Food Composition and Analysis. 2017. DOI: 10.1016/j.jfca.2017.02.002(全文〈受理原稿〉を確認。確認日:2026年11月1日。Frozen Food Foundationの研究助成を受け、食材・成分の選定に資金提供団体が関与)
  3. 一般社団法人 日本冷凍食品協会. よくあるご質問(公式FAQの公開ページを確認。論文ではないためDOIなし。確認日:2026年11月1日)