「もう眠い……。でもメイクだけは落とさなきゃ。化粧水は、今日はいいかなあ」
ソファに座ったまま、そんなことを考える夜ってありますよね。
迷うのは、ケアをするかしないかだけではなかったりします。洗面台には化粧水、美容液、クリーム、それに買ったまま使えていないシートマスク。全部やれば、布団に入るのはまた遅くなる。かといって寝るほうを優先して手を抜くと、翌朝、鏡を見て「やっぱりちゃんとやればよかったかな」と気になる。
早く寝たいのも肌のため、ケアしたいのも肌のため。どちらも肌のためだから、よけいに決められないんですよね。
眠い夜は、「ここまではやる」という最低限のケアと、「この時刻には布団に入る」という寝る時刻を、別々に決めておくと迷いにくくなります。
睡眠と肌、どこまでわかっているの?
「寝不足は肌に出る」とよく聞きます。実際、健康な女性60人を睡眠の質などで分け、肌のいくつかの指標を比べた研究では、睡眠の質と一部の指標との関連が報告されています。ただ、調べた人数や対象は限られていて、睡眠を増やせば肌がきれいになると確かめた研究ではありません。
睡眠時間については、厚生労働省の睡眠ガイドが、成人は個人差があるとしたうえで、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。とはいえ、6時間眠れば誰でも十分という意味ではありません。日中の眠気や、「ちゃんと休めた」という感覚があるかどうかで、必要な睡眠時間は人によって変わります。
だから、「何時までに寝ないと」「何時間寝ればいい」と数字だけで自分を追い込むより、まずはここ最近ちゃんと休めているかを振り返ってみる。そのほうが、今夜どうするかを決めやすくなります。
眠い夜の「ここだけは」を先に決めておく
米国皮膚科学会(AAD)は、洗う、保湿する、紫外線などから守る、というシンプルなケアを案内しています。夜にやるのは、このうち「洗う」と「保湿する」。眠い夜は、この2つが済んだらひと区切りにしてかまいません。
ここでいう「洗う」は、クレンジングと洗顔を必ず両方、という意味ではありません。使っているものの表示に合わせて、メイクや一日の汚れを落とせればそれでOK。洗顔まで1本で済むと書いてあるクレンジングなら、そのとおりで大丈夫です。
大事なのは、眠くなる前に決めておくことです。半分寝ている頭で「美容液はいる? クリームも?」と考えると、ひとつひとつ迷うことになって、なかなか洗面所から離れられません。「メイクと汚れを落として、保湿をひとつ」とあらかじめ決めておけば、あとは手を動かすだけです。
ひとつだけ例外があります。皮膚科で出してもらった塗り薬など、医師に言われて続けているケアがあるなら、それは削る側ではなく「ここだけは」の側に入れておいてくださいね。
いつも使っている保湿アイテムのうち、眠い夜でも手に取るものを洗面台のいちばん手前に置いておく。それだけでも、迷う時間はけっこう減ります。
「せっかく買ったし」のシートマスクは、今夜じゃなくていい
疲れた日ほど、自分へのごほうびに少し特別なケアをしたくなりますよね。でもシートマスクは、袋を開けてのせて、表示の時間まで待って、はがしたあとも製品によってはもうひと手間。待っているあいだにうとうとして、気づいたら時間をとっくに過ぎていた……なんてことも。
それに、AADは、製品を重ねすぎるとお金がかかるだけでなく、肌への刺激が問題になる場合もあると案内しています。疲れている夜にケアを増やしても、そのぶん肌によいとは限りません。特別なケアは、休みの前の夜や、お風呂上がりにのんびりできる日に回して、表示どおりの使い方を落ち着いて守れるときに。そのほうが、ちゃんと楽しめます。
寝る時刻は、ケアとは別に決める
ケアにかかる時間に合わせて寝る時刻が後ろへずれていくと、毎晩少しずつ睡眠が削られていきます。順番を逆にして、先に「布団に入る時刻」を決め、そこまでに歯みがきとケアを入れるようにしてみてください。時間が足りない夜は、最低限のケアではなく、それ以外の「ついで」のケアから削ります。
お風呂上がりの洗面所で済ませてしまう
いったんリビングに戻ると、洗面所へ行き直すのがおっくうになりがちです。体を拭いたら、そのまま顔も保湿まで済ませる。髪を乾かす前に終わらせてしまえば、あとでやり忘れても気にせずに済みます。
もうソファから動けない夜
スマホを片手にしたまま「あと5分」と言っていると、寝る時刻はどんどん遅くなります。立ち上がれたら、メイクと汚れを落として、保湿をひとつして、そのまま寝室へ。今夜はそこまでできれば十分です。
買い足したくなったら、理由を確かめてから
疲れが顔に出ているように見えると、新しい美容液やマスクについ目がいきます。でも、寝不足が続いていると感じているなら、増やすのはアイテムではなく、寝る時刻を早めることかもしれません。
買い替えや買い足しを考えるなら、「切れそうで、どうせ買うなら見直したい」など、理由がはっきりしているときに。眠いときにレビューを見比べ始めると、それだけで寝る時刻が遅くなってしまいます。
ただ、今使っているものがしみる、赤くなる、かゆいといった場合は、話が別です。新しいものを探す前に、まずはその化粧品をいったんお休みしてください。それでも落ち着かないときは、使っていた化粧品を持って皮膚科で相談すると、話が早く進みます。
寝ても肌の調子が戻らないときは
しっかり寝ているのに赤みやかゆみ、ヒリヒリが続くなら、睡眠不足だけが原因とは限りません。自分で原因を決めつけずに、皮膚科で相談してみてください。
また、眠れない夜が続く、寝ても休めた感じがしないというときについて、厚生労働省のガイドは、睡眠の不調の裏に病気が隠れている可能性にも触れています。気になるときは医療機関に相談を。
今夜は、メイクと汚れを落として、保湿をひとつ。決めた時刻に布団へ入れたら、それでもう十分です。
参考資料
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- Oyetakin-White P, et al. "Does poor sleep quality affect skin ageing?"(2015年)
- American Academy of Dermatology "Skin care on a budget"
確認日:2026年10月29日



